- 1.焼却技術
-
高温でごみを燃焼し無機化することで、無害化、安定化、減容化を同時に達成する技術であり、可燃ごみ処理技術として最も一般的な技術です。焼却処理はその燃焼過程や排ガス処理過程においてダイオキシン類等の有害物質を発生することが明らかとなり、批判を受けましたが、その後大きな技術的進歩を遂げました。
焼却に伴って発生する熱エネルギーは温水や蒸気として回収し、給湯、発電等に利用されますが、特に近年では発電効率を重視した設計が行われるようになっています。焼却炉での燃焼温度は850℃以上の高温でダイオキシン類及び原因物質を完全燃焼します。ガス冷却設備により排ガス温度を200℃低下に冷却し、後段の排ガス処理設備でダイオキシン類等の大気汚染物質を除去します。焼却灰及び飛灰(処理後)は最終処分されます。最近は、これらを原料とするセメント化を採用する自治体も出てきています。
- ストーカ式燃焼方式
-
ストーカ式燃焼装置は乾燥ストーカ、燃焼ストーカ及び後燃焼ストーカにより構成されます。
乾燥ストーカは、ごみの燃焼に先立って十分に乾燥を行い、燃焼ストーカは乾燥したごみを燃焼させ、さらに後燃焼ストーカは燃え残りをゆっくり時間をかけて完全燃焼させます。
ごみは移送中に撹拌反転させ、表面から効率よく燃焼させます。焼却灰は、後燃焼ストーカ末端から炉下部の灰コンベヤ等に落下させ排出します。
なお、次のような改善を加えた次世代型ストーカ技術も採用されています。
- 燃焼用空気の酸素富化又は高温化、排ガスの炉内吹き込み等により燃焼効率を向上させ、排ガス量を大きく削減する。
- 高温燃焼により排ガス中ダイオキシン類及びその前駆物質が削減されるとともに焼却残渣の無害化・安定化を図る。
- ボイラの高温高圧化(400℃、4.0MPaよりも上)を進めるとともに、熱回収率を高め、発電効率を向上する。
- 流動床式燃焼方式
-
珪砂等の砂層の下部から空気を吹き込み、砂層を流動させ、ごみを燃焼させます。砂層を熱媒体とすることで、均一な流動燃焼が行われます。燃焼後の灰は全て飛灰となり排ガスとともに排出され、後段の集じん装置等で捕集されます。
- 2.焼却+灰溶融技術
-
焼却技術と、焼却により生成した焼却灰を溶融する技術を組み合わせたものです。
焼却灰を溶融する熱源として、電気エネルギーを用いる「電気溶融方式」と燃料を用いる「燃料溶融方式」があります。
それぞれに以下の様な方式があります。
- 電気溶融方式
-
灰溶融方式としては最も種類が多く、多量の電力を消費するため、発電設備を有する焼却施設に併設されることが多いです。また、比較的大規模な施設での採用例が多くなっています。稼働実績としては、③ストーカ式+灰溶融方式、④流動床式+灰溶融方式があります。
- アーク式
-
溶融炉内に貫入している黒鉛電極に高電圧をかけることにより、電極先端から焼却灰に向けてアーク放電を発生させ、アーク熱により熱源を得る方法です。
- プラズマ式
-
トーチ内部に通電し、アーク放電を起こし、そこに空気や窒素等のプラズマガスを通して発生する高温のプラズマにより熱源を得る方法です。
- 電気抵抗式
-
溶融炉内に複数ある黒鉛電極間、並びに黒鉛電極と炉底部電極の間に直流または交流電源を流し、被溶融物の電気抵抗による発熱を熱源とする方法です。
- 燃料溶融方式
-
都市ガスや油等の燃料を熱源とした燃料溶融方式は、表面溶融方式、コークスベッド方式等の機種があります。比比較的小規模の施設での採用例が多くあります。
稼働実績としては、「ストーカ式+灰溶融方式」があります。
- 3.ガス化溶融技術
-
高温でごみを燃焼し無機化することなど、基本的な特徴は焼却+灰溶融技術と同じですが、焼却+灰溶融技術では焼却炉で発生した灰を電気や燃料の熱を利用した灰溶融炉で溶融するのに対し、ガス化溶融技術では基本的にはごみの燃焼に伴って発生する熱を利用してごみ中の灰分を溶融します。
最近になって開発された技術で、平成10年ころから建設実績が急増しました。得られたスラグは土木資材として利用されるほか、飛灰には亜鉛などの有用金属が濃縮されていることから、精錬所で金属の回収を行っている例もあります。
国内において一般廃棄物を対象とした施設は、直接溶融式(シャフト式直接溶融)、熱分解ガス化溶融式ともに60施設以上が稼動しており、特に熱分解ガス化溶融式は稼動する実機が多くなっています。また、ガス化改質式は3施設が稼働しています。
ガス化溶融式とガス化改質式(ガス回収式)に大別され、ガス化溶融式には更に直接溶融と熱分解ガス化溶融があります。
- シャフト式(直接溶融)
-
シャフト炉内に廃棄物及び副資材を投入しガス化と溶融を行うもので、不燃物はすべて溶融し炉底部から排出され、分解ガスは次工程の燃焼室で燃焼します。副資材を使用せずLPG、純酸素等の燃料・助燃剤を併用するものもあります。
- 流動床式(熱分解ガス化溶融)
-
廃棄物のガス化を流動床炉で行うもので、未燃固形物は熱分解ガスに随伴して排出され、熱分解ガスとともに次工程の溶融炉で高温燃焼させて溶融します。
- キルン式(熱分解ガス化溶融)
-
回転する横長のドラム(キルンと呼ぶ)内で空気を遮断した状態で廃棄物を加熱してガス化するタイプです。未燃固形物は熱分解ガスと分離して取り出し、篩分、破砕等の処理を行った後、溶融炉で熱分解ガスとともに高温燃焼させて溶融します。
- ガス化改質式
-
廃棄物を加熱して熱分解し、発生したガスを精製装置を通し精製ガスとして回収する方式です。改質と溶融に必要な熱を効率的に発生されるため、ごみの部分燃焼には酸素を用いています。なお、改質ガスの精製方式には酸・アルカリによる洗浄方式とバグフィルタによる乾式処理を採用しているものがあります。
- 4.炭化技術
-
炭化は、空気を遮断した状態でごみを加熱して炭化する技術であり、熱分解ガスと分離して取り出された炭化物は、必要に応じて不燃物や金属の除去、水洗等の後処理を施し、製品化されます。炭化物の利用先としては燃料のほか、土壌改良材等が実用化されています。
- 流動床式炭化方式
-
廃棄物の熱分解を流動床炉で行い炭化するもので、未燃固形物は炉下より排出されます。
- キルン式炭化方式
-
回転する横長のドラム(キルンと呼ぶ)内で空気を遮断した状態で廃棄物を加熱し熱分解し、炭化するタイプです。未燃固形物はキルン出口より排出されます。